2020年9月から12月まで、およそ4ヶ月かけて自宅リビングのDIYリフォームを行いました。その一連の内容は、すでにまとめ記事として2本掲載しています(まとめ①、②)。
今回は、その期間に実現できなかった「薪ストーブ」の設置工程をまとめました。
かかった時間は、2021年2月から3月。ちょうど1ヶ月でした。そこには、設置に関わる作業時間以外に、ストーブ選びから設計、メーカーとの相談、煙突の手配など、諸々含まれています。
正直、我々にとって「薪ストーブ」は生活必需品ではありません。暖房効率を考えると、すでに設置してあるエアコンを使用するのが一番です。経済的にも時間的にも、薪ストーブの使用は非効率な点が多いです。こうした要素が、リビングのリフォーム作業から後回しにされ、遅れを取った所以となりました。
しかし、思い返してみると、今の家に移り住んだ理由の1つは、“薪ストーブが使える”家だからでした(*逗子から秋谷へ参照)。“火を見て生活したい”という思いは以前から強かったのです。
今の時代、「火のある生活」というのは贅沢かもしれません。でも、せっかく薪ストーブを設置する場所も確保してあることですし。もうやるっきゃないってことで、春が来る前に急いで作業に取り掛かることにしました。
本体購入&設計
薪ストーブの設置予定場所(未改装の床の間)はもう決まっているので、まずやるべきことは本体の機種選びと設計です。部屋の広さにマッチして、好みのデザインであること。見た目も重要なポイントです。
設置に関しては、DIYで行うと決めていました。業者に依頼すれば、費用は100万円はくだらないような話も耳にします。反対に、DIYで10万円以下に抑えてる方もいます。
本格的な薪ストーブは求めていないけれども、デザインと安全面には極力配慮したい。もちろん費用面も。その辺りは、よくよく検討する必要があります。
種々検討した結果、こちらを購入しました。決め手は、火がよく見える窓の大きさです。あと、高燃焼で黒煙が出にくいもの。ついでに言うと、横から薪の投入ができる点。薪をくべる事をイメージした時に、本体右側に扉があるのが便利そうに思えました。
設計よりも先に本体を購入したのは、自分たちのケツを叩く為でもあります。モノを買ってしまえば、もう先に進むしかありませんから(今思うと、高い“置き物”になる危険性はありました)。
なお、本体は直接メーカーからよりも、ホームセンター「コメリ」で買うのが一番安かったです(76,800円)。平塚まで遠征して引き取ってきました。
続いて、設計です。薪ストーブを設置するには、様々な耐火要件があります。
耐火用の床や壁、本体との最低距離、燃焼効率を考えた煙突設計などなど。
色々と勉強したのですが、煙突設計に関しては間違いがあってはならないので、一度メーカーに相談することにしました。火事だけは、絶対に避けなければなりません。
当ブログ記事:
・自分でリフォーム大作戦、リビングに薪ストーブを設置する① -本体購入&設計編(2月3日)
炉台の準備
メーカーへ問い合わせたところ、多忙につき回答まで1週間かかるとのこと。
時間ができたので、その間に炉台を作ることにしました。
こちらが実際の設置場所、“床の間”ってやつです。ここだけは、未改装のままでした。
リビング全体を漆喰壁にリフォームしていたので、壁はそれに合わせて漆喰塗装を施し、床は台座を延長・拡大して3cm厚のブロックを敷き詰めました。台座とブロックの間にはカットした5mmのケイカル板(780円)を挟んであります。
この工程は、ブロックさえ決まってしまえば、作業自体は簡単でした。ブロック代は全部で3,800円。他は廃材で作りました。
そうこうしている間に、メーカーから設計図と見積もりが届きました。煙突には2種類あって、シングルと二重とがあります。安全性と燃焼効率を優先し高額な二重煙突を選んだので、思っていたよりも費用がかさむことが判明。
しかし、さすがは専門家。その設計には突っ込みどころがありません。悔しい気もしますが、提案通りの煙突を購入することにしました。
当ブログ記事:
自分でリフォーム大作戦、リビングに薪ストーブを設置する② -炉台準備編(2月11日)
壁に穴を空けてメガネ石をはめる
ところで、薪から燃焼した煙はその性質上、上へ昇ろうとします(ドラフト)。だから、本当ならストーブ本体から真上にまっすぐ煙突を延ばしてやるのがベストです。
とはいっても、DIYで天井や屋根に穴を空けるほどの自信はありません。なので、内壁から煙突を通し、極力横に走る煙突(横引き)を短くした上で、できるだけ外壁から軒先に沿って延ばすように設計しました。
確定したら、設計図通りに壁に穴を空けます。これは、なかなか勇気のいる仕事です。「やっぱり、もうちょっと下に」とかできませんからね。
作業中はものすごい量の粉塵が飛びます。床の間を密閉する形で厳重に養生したので、グラインダーをひと振りしただけで目の前が真っ白に。まるで、ホワイトアウトです。で、粉塵が床に沈み落ちたら作業再開。それの繰り返し。お陰で、被害は最小限で済んだと思います。外壁側は、粉塵に構わずぶった斬れました。
メガネ石の厚みは15cm。それに合わせて自作の木枠をセット。壁の厚みが12cmなので、メガネ石が内側と外側に1.5cmずつ均等にはみ出すように固定します。
それから、メガネ石カバーを被せ、壁との隙間をコーキングで塞ぎます。
薪ストーブ設置の一連の作業の中で、壁の穴空けが一番大変で神経を使った工程でした。逆に言うと、一番やった甲斐を感じる作業となりました。
当ブログ記事:
自分でリフォーム大作戦、リビングに薪ストーブを設置する③ -壁に穴を空けてメガネ石をはめる(3月1日)
炉壁の準備
どうして炉壁作りをこの順番にしたかと言うと、壁の穴空けで粉塵が飛び散ると考えたからです。炉台はともかく、隙間のある炉壁を作ってから舞い散った粉塵を払い掃除するのは手間でしょう。結果、この手順で正解だったと思います。
床の間に沿う形で1cm分のケイカル板を張り巡らせました。内壁との間に3.5cm厚の下地を縦に等間隔で打ち付けてあります。下地は木材なので可燃物ですが、内壁は漆喰、砂、モルタル、石膏ボードの順でどれも難燃性のある素材で層になっており、運良く燃えにくい構造になっています。
そしたら、ケイカル板を隠し覆うように金属板を打ち付けていきます。これは新品のガリバリウム波板にわざと錆び出しを施したものです。
グラインダーで表面に傷をつけた上に酸性洗剤を塗って野晒しにしました。短時間でいい味が出せたと思います。以上で、下ごしらえの終了です。
当ブログ記事:
自分でリフォーム大作戦、リビングに薪ストーブを設置する④ -炉壁準備編(3月3日)
煙突を立ち上げストーブ本体を設置
いよいよ、外部煙突を立ち上げます。実は、注文した部品に欠品があったため、10日ほど足踏みせざるを得ませんでした。納品を待っている間、煙突が設計図通りに組み立てられるか、雨どいに接触しないか、現場を何度も計測しては想像を巡らせていました。設置を目前にして、伸るか反るかといった気持ちです。
ちなみに、こちらが発注した煙突一式です。二重煙突なので、全部組み立てると結構な重量になります。いくら机上で計算が合っていても、現物がその通りにハマるとは限りません。メーカーの設計者とは、すべてメールか電話でのやり取りでした。つまり、現場を確認しているわけではないので、数cmの誤差は覚悟しなくてはならないのです。
事実、取り付け途中で問題が発生しました。
設計図より煙突がわずかに縦に長かったため、軒先部分の留め具が煙突にかみ合わなくなってしまったのです。これでは固定できません。
「二つ割り」と呼ばれる煙突側の留め具を斜めに取り付けられるよう、L字型の金具が必要になり、急遽ホームセンターへ走りました。
結果として、煙突は立ち上がりました。しかし、軒下と屋根上の煙突のバランスが想定より不均等になりました。固定金具の負担が気になります。また、風による煙突の揺れが心配なので、早いうちに改善しようと思います。
後日、補強した様子がこちら。屋根から支持金具2本で煙突を固定しました。
垂木(屋根にビスを打つ下地となる)の場所を拾うのに苦労しました。雨漏りの原因となるので、できるだけ屋根には触りたくなかったのですが、これしか方法が思いつきませんでした。
結構大変な仕事だったので、興味のある方は詳細記事をご覧下さい。
一方で、使用感はと言うと、まったく問題ありません。煙の逆流もなく、いたって快調・快適。やはり、火のある生活は最高です。薪ストーブを導入して本当に良かったです。
自作した炉台・炉壁もストーブ本体から最低限の距離を取っているので、今の所心配ありません。
費用面で言うと、当初の予想よりは高くついてしまったと言うのが正直な感想ですが、安全面と燃焼効率を優先したと考えれば致し方ないと思います。業者価格と比べれば、格段に安く済みましたし。ただ、さすがにDIYで10万以下で済まそうとするのには無理がありました。。。
今はリフォーム時に出た廃材ばかり燃やしているので、今冬までにちゃんとした薪を安く入手できるルートを確保したいです。
当ブログ記事:
・自分でリフォーム大作戦、リビングに薪ストーブを設置する⑤ -煙突の立ち上げと火入れ(3月6日)
・自分でリフォーム大作戦、リビングに薪ストーブを設置する【番外編】 -風で揺れる煙突を補強(3月18日)
リビングのDIYリフォームが完成
以上、薪ストーブの設置をもって、リビングのDIYリフォームは正式に終了しました。作業を開始した昨年9月から数えると、半年くらいかかったことになります。とても大変でしたが、その労に報いる成果が出せたと思います。
天井を吹き抜けにし、フローリングを張り替え、壁を漆喰に塗り替えました。天井が広くなった分の冷暖房効率を考え、シーリングファンも設置しました。
ちなみに、1年前に内見した時はこんな感じの部屋でした。こうして見比べると、その差は歴然でしょう。ニンマリしてしまいます。
これから、DIYリフォームは、ダイニングキッチン(あと少し)、風呂場、洗面所、トイレとまだまだ続きます。
興味のある方は、たまに当ブログを覗いてみて下さい。私たちの生活が少しでも誰かの参考になればうれしいです。
関連記事:
・【まとめ】DIYリフォームで自宅リビングが完成するまでの総集編①
・【まとめ】DIYリフォームで自宅リビングが完成するまでの総集編②